倉吉市立山守小学校は、平成28年3月31日をもって、閉校いたします。
山守小学校は、明治6年11月10日に開校しました。創立時は、男子生徒43名、女子生徒1名、教員1名だったそうです。明治5年に学制が発布されて次の年には学校ができていますので、山守地域は、子どもの教育の重要性をいち早く理解しておられた地域であったことがわかります。その後明治22年10月に山守小学校という名称になってから現在まで統廃合もなく、昭和35年には、児童数322名を誇りました。また、昭和48年には、全国健康優良学校特選校に選ばれ、その報告書のタイトルであった「ひるぜんの雪とかがやけ雲と広がれ」という素晴らしい言葉は、今でも山守小学校の教育理念として受け継がれています。このように、142年もの長く輝かしい歴史を積み重ねて参りましたが、児童数31名となった本年度、倉吉市学校適正配置の草案に沿った形で、閉校、そして来年度から関金小学校と統合することとなりました。
この一年間は、教職員も児童も、思いを込めていろいろな学校行事などに取り組み、運動会や学習発表会、倉吉市連合音楽会での全校による合唱・合奏など、最後にふさわしく、いつまでも思い出に残る素晴らしいものとすることができたと思います。また、3月4日の「ありがとう集会」では、6年生が中心となって全校で山守小学校の校章をちぎり絵で作成するなど、全校児童が長い間お世話になった山守小学校に感謝の気持ちを表しました。もちろん普段の学習にもまじめに取り組み、関金小学校との集合学習も重ねて、この山守の豊かな自然環境の中で、木のぬくもりの感じられる素晴らしい校舎で、この一年間を大切にのびのびと生活することができました。
私は、最後の一年間のみの在職となりましたが、学校支援ボランティアや閉校式典実行委員会に関わっていただいたたくさんの地域の皆様、また、PTA活動で学校を支援していただいた保護者の皆様の、労を惜しまず行動してくださる姿、一生懸命さに深い感銘を受けました。
また、28年前に始まった関金子供歌舞伎も、保存会の方々、保護者、先輩の中学生の献身的な支えが受け継がれ、子どもたちもそれに応え続け、その結果、全国に誇れる素晴らしい伝統芸能に育っていったのだと思います。
このように絆を大切にしてみんなで一致団結するという雰囲気の中で、子どもたちも、自然に、素直で我慢強くすくすくと成長しています。 これこそ、学校だけでは作り上げることができない、長い間、地域の皆様、歴代のPTA会長はじめPTA会員の皆様、歴代の教職員の皆様が一体となって142年間の歴史を積み重ねて築いてこられた山守教育であると改めて感じています。
閉校を決断されてから約一年、地域の小学校がなくなるという現実と向き合って、地域や保護者の皆様には、期待や不安、残念な気持ちなど様々な思いを抱きながらも、統合の準備を進めていただき、今日のこの日を迎えました。私は、来年度、関金町に一つとなる新関金小学校で、子どもたちが多くの友達の中で切磋琢磨しながらたくましく成長する姿を思い描きながら、新しい学校の開校を待ちたいと思います。在校生は、新しい関金小学校で勉強・運動・仲間づくりに励み、自分の未来を切り開いてゆくのです。山守地区の皆様にも新しい学校にこれまでと変わらない愛情を注いでいただくよう心からお願い申し上げます。
閉校にあたり、ご尽力賜りました関金小学校・山守小学校統合準備委員会の皆様、閉校式典実行委員会の皆様、関係各位にお礼と感謝を申し上げます。
最後になりましたが、山守小学校の教育理念「ひるぜんの 雪とかがやけ 雲とひろがれ」 人間的なおおらかさと人生への積極的な意思を常に持ち続ける人の育成 を願ったこの言葉が、私たちの心の中に永遠に生き続けることを願って挨拶といたします。
平成28年3月31日
鳥取県倉吉市立山守小学校長 藤山 正明