燃え上がる緑の木
進路指導部 横河繁久
若い頃、大江健三郎の「燃え上がる緑の木」に導かれて読んだアイルランド詩人、イエイツ。そのVacillation(動揺)という詩に曰く、
1本の木がある。いちばん高い枝からの半分が
煌々と燃え盛る火炎、あとの半分は緑につつまれて、
しっとりと露に濡れた葉むらが生い繁っている。
半分は半分だが、それでいて全景でもある。 (岩波文庫、高松雄一訳)
大江は魂と肉体の対立を表すものとしてこの作品を語っているが、自分の置かれている日常を考えるにこの2つを理想と現実と解してもよいかと思う。教育における理想と現実・・・。現実に流されずしかも現実を見据えて、理想を失わずしかも絵空事に陥らず。現実と理想という矛盾の中では、どちらかを排除したくなるけれど、矛盾を矛盾として抱えたままで生きていく、教育に立ち向かっていく。そんな存在であろうと年の初めに考えた。
燃え上がる緑の木は、きっと詩人の想像力の産物なのだろうと思っていたのだが、赤と緑が上下で共存する1本の木は本当に存在できる!